どうも、ガジェット系ブロガー兼プログラマーをやっている「うきしま」です。
ロジクールのワイヤレストラックボール「ERGO M575 ワイヤレストラックボール」をレビューします。
「ERGO M575」は同社の名作トラックボールとして知られる「M570/M570t」が10年ぶりに刷新された後継モデルとなります。
「ERGO M575」では先代の「M570/M570t」では対応していなかったBluetoothでの接続に対応しているだけでなく、本体の形状も変わっていたりと様々な機能がアップデート・リニューアルされています。
「ERGO M575」の登場は名作と言われたトラックボールの後継モデルが10年ぶりに登場したと言う事からかなり注目を集めている様に感じます。
この記事では名作と呼ばれた先代モデル「M570」との違いについて触れつつ「ERGO M575」を実際に使ってみた感想について紹介していきます。
先代モデル「M570」との違いを紹介
名作トラックボールとして名高い先代モデルの「M570」との違いについてざっくり紹介します。
「ERGO M575」と「M570」との違いは以下の通りです。
- 本体形状・本体サイズの違い
- ERGO M575 : 高さ48mm×幅100mm×奥行き134mm
- M570 : 高さ45mm×幅95mm×奥行き145mm
- 本体重量の違い
- ERGO M575 : 145g(電池含む)
- M570 : 142g(電池含む)
- 対応している接続方式の違い
- ERGO M575 : Unifying & Bluetooth
- M570 : Unifying
- カラーラインナップ数の違い
- ERGO M575 : 3種類(グラファイト・ブラック(Amazon限定)・オフホワイト)
- M570 : 1種類(ブラックのみ)
- 電池寿命の違い
- ERGO M575 : 24ヶ月(単三乾電池×1)
- M570 : 18ヶ月(単三乾電池×1)
- 対応しているOSの違い
- ERGO M575 : Windows, Mac, IPadOS
- M570 : Windows, Mac
- センサー方式の違い
- ERGO M575 : オブティカル
- M570 : レーザー
- センサー解像度の違い
- ERGO M575 : 最大2000dpiまで調整可能
- M570 : 540dpi
「M570」に比べて「ERGO M575」は若干本体の重量が重くなった点以外はほとんどの機能において性能が向上しているみたいですね。
「ERGO M575」はまさに「M570」がアップグレードされたトラックボールであると言えそうです。
ERGO M575の外観をレビュー
今回紹介する「ERGO M575」は本体色が「オフホワイト」のモデルとなります。
「ERGO M575」には以下の色のモデルがラインナップされています。
- グラファイト
- ブラック(Amazon限定)
- オフホワイト
ホイールや各ボタンも本体色と同じ色に統一されている事で非常にシンプルでスタイリッシュな外観だなと言う印象を受けました。
唯一「ボール」だけが本体色とは異なり水色になっており、若干ラメがかかった様な見た目となっています。
個人的には本体の色がほとんど統一されているトラックボールなので、どうせならボールも本体色と統一してくれた方が格好いいのになと思いました。
「ERGO M575」に搭載されている「ボール」は35mmの俗に言う「小玉」と呼ばれるサイズのボールが搭載されています。
下の画像はERGO M575を上部から撮影した画像になります。
フォルムについてはM570の面影を感じる部分もありますが結構変化があった様に感じました。
「M570」と異なる点としてはまず握った時に手のひらが触れる部分に滑り止め加工の様な物がされています。
実際に滑り止めの効果を実感できるかどうかについては個人的な感想としては正直ほとんどないかなと感じました。
他にホイール部分の傾斜の角度が先代の「M570」に比べて結構キツくなっている様に感じました。
「M570」は平らという訳ではありませんでしたが「ERGO M575」よりはもう少し傾斜が緩やかだった様な気がします。
この本体形状の変更を良いと感じるかどうかについてはかなり個人差というか好みが別れる所かなと思いました。
ホイールとボール以外の部分はプラスチック素材となっておりサラサラとした質感です。
ホイール部分はゴム系の素材となっているので肌触りは優しい感じがします。
ただ個人的にはゴム系素材のホイールはホコリや汚れがつきやすいので正直好きではないです。
特に私の手元にある「ERGO M575」は白色なので余計に汚れが目立ちそうです。
トラックボールの定番メンテナンスのボール部分の掃除以外に本体も定期的なクリーニングが欠かせないですね。
ちなみにホイールについてはチルト操作可能なタイプではありません。
「ERGO M575」はチルト機能が必須な人には向かないとおもいます。
下の画像は本体背面の画像になります。
本体中央にはBluetoothとUSBレシーバーでの無線接続を切り替える為のスイッチがあります。
接続切り替えスイッチは指先で押してやるタイプのスイッチになります。
接続方法切り替えスイッチの横には電源スイッチがあります。こちらはスライドして使うタイプのスイッチですね。
滑り止めのゴム足については薄めの物が搭載されていますが結構グリップしてくれます。
ERGO M575は単三電池1本で動作します。
使用環境・状況によっては電池寿命は変動しますが単三電池1本で24ヶ月動作するとの事です。
電池ボックスは本体背面にあります。
電池ボックス内には開封時点で電池とUSBレシーバーが入っていました。
電池については通電防止のフィルムが挟まっている状態で梱包されており、このフィルムを引き抜けばすぐに使用可能な状態となっていました。
ERGO M575の使用感について
ERGO M575の使用感について私が感じた事は以下の通りです。
- ボールを取り外しやすいので掃除がしやすい
- トラックボールの中では細かい操作の時のポイント飛びが起きにくい
- ボールの操作感は非常に滑らか
- スクロール方向を好みに設定する事ができないのは残念すぎる
ボールを取り外しやすいので掃除がしやすい
トラックボールはその構造上センサー部分やボールを支える軸の部分に汚れが溜まってしまう為定期的にクリーニングしてあげる必要があります。
このクリーニングを怠るとボールの操作感が悪くなったりボールの動きを正確にトラッキングしてくれないといった様なトラブルが発生する原因となる可能性があります。
つまりトラックボールというデバイスを扱う上でセンサー部分と軸の部分の清掃はマストな訳ですが、クリーニングをする為には本体から「ボール」を取り外す必要があります。
要するにトラックボールにおいて「ボール」の取り出し易さというのはメンテナンス性の良し悪しを測る上で重要な要素と言えます。
では「ERGO M575」はその点どうなのかというと率直に言って「取り外しやすい」です。
「ERGO M575」には本体背面にボールを取り出す為の穴が空いており、そこから指でボール押し出して取り出す事が可能です。
ボールは比較的軽い力で取り出す事ができ、非常に取り出しやすいという印象を受けました。
トラックボールの中では細かい操作の時のポイント飛びが起きにくい
最近のトラックボールにはボールの挙動をトラッキングする為センサーとして以下の様なセンサーが搭載されている製品が多いです。
- レーザーセンサー
- オプティカルセンサー
「ERGO M575」には「オプティカルセンサー」が搭載されています。
「オプティカルセンサー」には細かい動きをした時のポイント飛びが発生しにくくトラッキングの精度が高いというメリットがあります。
「ERGO M575」を実際に使ってみた所、確かにレーザー式のトラックボール特有の細かい操作をした際に発生するポイント飛びが起こりにくいという印象を受けました。
「オプティカルセンサー」が搭載されているおかげで「ERGO M575」はわずかなボールの操作にもしっかりポインタが追従してくれる、高精度なトラックボールだなと感じました。
個人的な感想にはなりますがポイント飛びの少なさについては他のトラックボール製品と比較してもかなり少ない部類じゃないかと思いましたね。
「ERGO M575」はトラックボールで細かい操作がしたい人におすすめなトラックボールなのではないかと思いました。
ボールの操作感は非常に滑らか
「ERGO M575」のボールの操作感はかなり滑らか部類だと感じました。
個人的にはボールの操作感が滑らかな事で定評のあるKensingtonのトラックボールと比較して遜色ない位に滑らかだなと感じました。
ただ「ERGO M575」のボールの操作感についてはKensingtonのトラックボールにある様な「しっとり感」が薄い様に感じました。
個人的な見解としてはこれはボールの重量が関係しているのではないかと考えています。
例えば私も愛用しているKensingtonの「ExpertMouse K72359JP」では55mmのいわゆる「大玉」と呼ばれる大きさのボールを搭載しておりボールの重量もそれなりにあるのですが、こちらは個人的に「しっとり感」が高いと感じています。
※Kensington ExpertMouse K72359JPについては別の記事にて紹介していますのでぜひご覧ください。
記事はこちらからご覧いただけます。
一方で「ERGO M575」は35mmのいわゆる「小玉」と呼ばれる小さいサイズのボールを搭載している為どうしてもボールの重量は軽くなります。
ボール重量が軽いと以下の様な効果があると言えます。
- 大玉・中玉のボールと比べると操作に使用する指の本数・力を抑える事ができる。
- 本体重量を軽量化できるため携帯性が向上する。
- 大玉・中玉のボールと比べるとボールを勢いよく回した際の安定感が低い。
小玉ボールボール重量が軽いため軽い力でポインターを大きく移動させる事が可能な点がメリットなのですが、これは使用感という側面で見るとデメリットにもなりえます。
ここでいうデメリットとは上記でも触れた様にボール操作時の「しっとり感」が薄れてしまうという事です。
この「しっとり感」というのは私個人的な感覚を無理矢理言葉にした物なので、もう少し伝わりやすい言い方をするならば「ボールの重みを指先で感じながら操作ができるかどうか」という事になると思います。
車を運転する人であればなんとなくわかってもらえるかもしれないのですが、ハンドルを回す時にハンドルが軽いと楽に回す事ができますが質感としては結構スカスカな印象を受けると思います。
逆にハンドルに適度な重みがあるとハンドルを回す時に必要とする力は増えますが、その分質感は重厚な感じすると思います。
つまり「ERGO M575」は上記の場合でいえば前者の操作感に近いと感じました。
ちなみに「ERGO M575」のボールサイズについては上の画像で比較するとエレコムの人差し指操作タイプのトラックボールの「DEFT」とほぼ同程度のサイズです。
ちなみに上の画像内のボールは以下の様な内容となっています。
- 左:logicool ERGO M575
- 中央:ELECOM DEFT
- 右:Kensington OrbitFusion
スクロール方向を好みに設定できないのは残念すぎる
ここまでは自分の中でもかなり良い評価であるERGO M575ですが一点だけ残念な点があります。
それは、スクロール方向を好みに設定する事ができないという点です。
ERGO M575は「logicool Options」というソフトウェアを使って各ボタンに割り当てる機能等を設定する事ができるのですが…
まず、設定できる項目が少なすぎるんですよね。
ただ設定項目が少ない事自体について私は最初はあまり問題と感じていませんでした。
理由は単純で私はオプションボタンにブラウザバックとフォワードが割り当てられればそれでいい人だからです。
ただ1点どうしても無視できなかったのは「スクロール方向」の設定項目がないという点でした。
下の画像はlogicool Optionsの「ポイント&スクロール」というスクロール操作等の設定画面なのですが、肝心のスクロール関連の設定はありません。
「logicool Options」での「ERGO M575」の設定方法についてはこちらの記事にて紹介していますので興味のある人は見てみて下さい。
私は普段ERGO M575をMacに接続して使っています。
これは私の好みの問題になりますがMacを使っていてもスクロール操作についてはWindowsと同じ操作感にしたいのです。
つまりMacで使う場合はスクロールの方向を反転させてやる必要があります。
しかし現状ではERGO M575のスクロール方向の設定は変更できないので、スクロール方向を反転させるにはMac本体のシステム環境設定でスクロール方向の設定を変更するしか方法がありません。
ただMac本体の設定を変更してしまうとトラックパッド操作時のスクロール方向も反転してしまいます。
私はトラックパッドも多用するのでこちらの操作を変更するとかなりトラックパッドが使いづらく感じてしまいます。
今は仕方ないのでMac本体の設定は変更せずにERGO M575を使う時はWindowsのスクロール方向と反転した状態(Macではデフォルト)のまま使い続けています。
この問題はトラックボールの使い易さ等にダイレクトに影響するのでソフトウェアの改修で解決可能なのであればぜひ解決して欲しい点ではあります。
今後logicool Optionsのアップデート等でERGO M575でもスクロール方向の変更が可能になると嬉しいですね。
logicool Optionsの後継アプリ「logi Options+」でのデバイス設定変更方法が知りたい人はこちらの記事をご覧ください。
まとめ
この記事ではロジクールのトラックボール「ERGO M575」をレビューしました。
「ERGO M575」は名作と呼ばれた先代の「M570 / M570t」と比較してもスペック面でもアップグレードされている事がわかりました。
スペック面だけでなく先代モデルと本体形状も異なるので先代モデルを愛用していた人にとってそのままの操作感を維持しているかと言われると正直微妙な印象はあります。
しかし個人的には使い易さというコンセプトに関しては良い意味で先代モデルの意思を引き継いだトラックボールであると感じました。
「ERGO M575」はこれからの親指操作タイプトラックボールのスタンダートになっていくのかもしれません。
初めてトラックボールを使ってみるという人にも十分おすすめできる製品だと思います。
ただ、ここまで完成度の高いトラックボールなだけに専用ソフトウェアのlogicool Optionsでの設定可能な項目数が少なすぎるという点は正直残念でした。
特にスクロール方向の設定については使い易さという面においてダイレクトに影響が出るのでソフトウェア側の改修で修正可能であるのであればぜひ改善して頂きたいなというのが率直な感想です。
ちなみに「logicool Options」での「ERGO M575」の設定方法についてはこちらの記事にて紹介していますので興味のある人は見てみてください。
最後に「ERGO M575」をレビューしてみてこのトラックボールをおすすめできる人、そうでない人について以下にまとめておきたいと思います。
これからERGO M575の購入を検討している人の参考になれば幸いです。
ERGO M575をおすすめできるのはこんな人
- マウスホイールにチルト機能が必須ではない人
- トラックボールの持ち運びを考えている人
- 親指操作タイプのトラックボールが欲しい人
- Bluetooth接続可能なトラックボールが欲しい人
- ポイント飛びの少ないトラックボールが欲しい人
- ボールの操球感に滑らかさを求める人
- ボールの操作感が軽いトラックボールが欲しい人
ERGO M575をおすすめできないのはこんな人
- マウスホイールにチルト機能が必須な人
- 親指操作が苦手な人
- 高速かつ高精度な操作をする人(FPSゲームのエイム操作など)
- 大きいサイズのボールが搭載されているトラックボールが欲しい人
- ボールの重みを感じながら操作をしたい人
- Windowsのスクロール方向に慣れている人でMac本体の設定を変更せずにMacで使いたい人
- 電池を使いたくない人