FILCOのMajestouch Stingray(マジェスタッチ・スティングレイ)をレビューします。
Majestouch Stingrayは低背赤軸(ロープロファイル赤軸)スイッチを搭載したメカニカルキーボードです。
低背赤軸(ロープロファイル赤軸)スイッチとは通常の赤軸スイッチよりもより背が低く、アクチュエーションポイントやキーストロークが浅い事が特徴のメカニカルキースイッチです。
メカニカルキースイッチを搭載したキーボードはキーストロークが深く全体的に厚みのあるデザインの製品が多いという印象がありますがMajestouch Stingrayはキースイッチ以外にも全体的に薄型化されたデザインとなっています。
一般的なメカニカルキーボードのキーストロークの深さや本体の厚みが苦手だけど、メカニカルキーボードの打鍵感が好きという人には是非オススメしたいキーボードです。
この記事では低背赤軸(ロープロファイル赤軸)スイッチを搭載したMajestouch Stingrayを通常の赤軸スイッチを搭載したMajestouchと比較しつつレビューしていきます。
Majestouch Stingrayの外観とスペック
キースイッチ | CHERRY MX Low Profile Red Switch(低背赤軸スイッチ) |
キーストローク | 3.2mm |
キーピッチ | 19mm |
サイズ | 幅358×奥行138×高さ31.7mm |
重量 | 900g |
バックライト | なし |
Majestouch Stingrayにはキーの印字がキーキャップの上部や前面に印字されている物やテンキーの有無といった様々なバリエーションのモデルがラインナップされています。
今回私の手元にあるのは【テンキーレス・日本語配列・前面印字】でCHERRY MX Low Profile Red Switch(低背赤軸スイッチ)を搭載したモデルになります。
Majestouch Stingrayの最大の特徴は低背タイプのメカニカルキースイッチを搭載した事でキーボードの厚みが抑えられている点だと思います。
通常の赤軸メカニカルキースイッチを搭載したMajestouchと比較してみるとMajestouch Stingrayはキースイッチの薄型化のみならずキーキャップや筐体自体もかなり薄型化されている事がわかります。
Majestouch Stingrayの外観は印字部分以外は全て黒一色でキーボードバックライトや余計な装飾はなく、シンプルなデザインのキーボードとなっています。
まさに「質実剛健」と言った様な無骨なデザインとなっており全体的に若干「ザラザラ」した質感となっています。
本体側面にはヘアライン加工が施された「FILCO」のロゴマークがあります。
安っぽさはなく高級感があってかっこいいです。
ちなみにスペースキーの前面にもFILCOのロゴが刻印されています。
この主張しすぎず、さりげなく刻印されている感じがかっこいいです!
背面にはケーブルガイドが付いており前・左右の3方向から好きな方向にケーブルを出す事ができます。
ケーブルが伸びる方向が固定されていないのでケーブル部分が干渉してしまったり等、キーボードの配置が制限されてしまう心配はなさそうですね。
ケーブルガイドがあるのは地味にありがたい点です。
背面にはケーブルガイドの他にも角度調整用のスタンドと滑り止めのラバーがついています。
滑り止めラバーは面積が広いタイプの物が採用されています。
Majestouch Stingrayは背面のスタンドを立てる事でキーボードの角度を2段階調整できます。
個人的にはスタンドを立てなくてもそれなりに傾斜のあるキーボードである事と、キーボード自体が薄いのでスタンドは立てない方が打ちやすいと感じました。
CHERRY MX Low Profile Red Switch(低背赤軸スイッチ)について
今回紹介するMajestouch StingrayにはCHERRY MX Low Profile Red Switch(低背赤軸スイッチ)が搭載されています。
低背赤軸スイッチはよく出回っている赤軸スイッチと比較して背が低くキーの作動点(アクチュエーションポイント)が浅い事と、キーストロークが浅い点が特徴のメカニカルキースイッチです。
つまり低背赤軸スイッチは高速入力に適したメカニカルキースイッチと言えると思います。
アクチュエーションポイントとはキーを打鍵した時にスイッチがOFFからONに切り替わるポイントのことです。
一般的なメカニカルキースイッチのアクチュエーションポイントは2.2mm程度の物が多い印象があるのですが低背赤軸スイッチでは1.2mmとなっています。
上の画像で通常のCHEREY MX 赤軸スイッチと低背赤軸(ロープロファイル赤軸)スイッチを見比べてみるとスイッチの厚みだけでなく形状そのものが違うことがわかります。
キーストロークについては通常のCHERRY MX 赤軸スイッチが4.0mmなのであるのに対して低背赤軸(ロープロファイル赤軸)スイッチは3.2mmと短くなっています。
logicoolのG913TKLとMajestouch Stingrayはどちらの方が薄い?
ちなみに余談となりますがCHERRY MX Low Profile Red Switch(低背赤軸)と同じ様な低背タイプ・アクチュエーションポイントとキーストロークが浅い・メカニカルキーであるという特性を持ったキースイッチを搭載したキーボードにlogicoolのG913TKLというキーボードがあります。
※logicoolのG913TKLについては以前にレビューしていますので気になる人はこちらからご覧ください。
G913TKLもMajestouch Stingrayと同じ様に薄型のメカニカルキーボードの中では人気のキーボードですが個人的にどちらのキーボードの方が薄いのか気になったのでざっくり比較してみたいと思います。
上の画像では両者ともスタンドは立てていない状態で並べて撮影しています。
キーキャップの頂点までの高さについては手前のキーでは両者ともほぼ差がない様に見えます。
ただ奥側のキーになるにつれてMajestouch Stingrayの方はキーの傾斜をつけている為にG913TKLと比べて厚みがあります。
スタンドを立てない状態ではlogicoolのG913TKLの方が薄いキーボードと言えそうですね。
付属品について
Majestouch Stingrayには以下の付属品が同梱されています。
- キーキャップ取り外し用のキープラー
- キー配置入れ替え時に使用するサイズ違いのキーキャップ
- PS/2変換プラグ
メカニカルキーボードでは掃除する際などキーキャップを取り外す事が多々あるので専用のキープラーが付属しているのはありがいです。
たまにキーキャップをキープラーを使わずにマイナスドライバーなどを使って取り外している人を見かける事があるのですが
個人的にはマイナスドライバーを使う場合にはうまく外さないとキーキャップを傷つけてしまう可能性もあるのでお勧めしません。
専用工具というだけにマイナスドライバー等の器具を使うよりも安全かつ簡単にキーキャップを外せるのでキープラーがあるのであればあえて使わない理由はないと思います。
Majestouch Stingrayにはキーの配置を入れ替えできる機能があり、キー配置入れ替え後に使用する為のサイズ違いのキーキャップが付属されています。
キー配置だけ変えてキーキャップはそのままでは何かとわかりづらくなってしまう為、キーの配置と印字を同じ状態にしておけるというのはとてもありがたいですね。
Majestouch Stingrayの使用感
Majestouch Stingray(低背赤軸・テンキーレスモデル)を2ヶ月ほど使用してみた感想を紹介します。
打鍵音はいわゆる赤軸サウンドだが通常の赤軸より音量は小さめ
上記でも紹介しましたがMajestouch StingrayにはCHERRY社製の低背赤軸(ロープロファイル赤軸)スイッチが搭載されています。
低背赤軸(ロープロファイル赤軸)スイッチの打鍵音は「カツカツ」という、いわゆる赤軸サウンドです。
ただ通常のCHERRY社製赤軸スイッチの打鍵音とは微妙に異なっている点がある様にも感じました。
特に異なっているなと感じたのは低背赤軸(ロープロファイル赤軸)スイッチの方は打鍵音の高音成分が通常の赤軸スイッチと比較して抑えられている様に感じます。
その為かどうかは不明ですが、通常のCHERRY社製赤軸スイッチと比較すると打鍵音が響く感覚が少なく音量も小さい様に感じました。
低背赤軸(ロープロファイル)赤軸スイッチの打鍵音はメカニカルキーボードの中でも特に小さい部類だと思います。
よほど静まり返ったオフィス等でなければ打鍵音が周囲の迷惑になることはないと思います。
もしもっと打鍵音を小さくしたい人は静音化リングを装着するとさらに音量が抑えられるのでオススメです。
メカニカルキーボードの打鍵音が気になってしまう人には是非「静音化リング」を試して欲しいですね。
ちなみに私もMajestouch Stingrayに静音リングを装着して使っています。
ロープロファイル赤軸の打鍵音と静音リングを装着した際の打鍵音については別記事にて動画付きで紹介していますので気になる方はこちらからご覧ください!
通常の赤軸に比べてキータッチが重めな打鍵感
私は赤軸と言われるとキータッチが軽くキーを押した感覚が少ないという打鍵感のイメージを持っていました。
もし赤軸スイッチの打鍵感について私と同じイメージを持っている方であれば低背赤軸(ロープロファイル赤軸)スイッチの打鍵感には少しびっくりするかもしれません。
なぜかというと低背赤軸(ロープロファイル赤軸)スイッチのキータッチは赤軸らしからぬ重みを感じる為です。
誤解のない様に言っておきますが、キータッチがめちゃくちゃ重いという訳ではありません。
キータッチの軽い、いわゆる通常の赤軸スイッチの様なキータッチをイメージしていると「んっ?」となる程度の重みです。
キーの押下圧は通常の赤軸スイッチと低背赤軸(ロープロファイル赤軸)スイッチでは共に同じ45gとなっています。
しかし、なぜか低背赤軸(ロープロファイル赤軸)スイッチの方が若干キータッチが重い気がするんですよね。
この感覚の違いがなんなのか私なりに考察すると、この感覚の違いはキーキャップの重量の違いが原因ではないかなと思いました。
低背赤軸(ロープロファイル赤軸)スイッチのキーキャップは通常の赤軸スイッチの物と比べて薄型化されており重量にも若干の差があります。
上記の理由により同じ押下圧のキースイッチであってもバネにかかる重量には差が生まれます。
キーキャップが軽い方が重い方に比べてバネにかかる重量が僅かにですが少ない為キーを押す際に余分に指先の力が必要になるので通常の赤軸スイッチと比べてキータッチに重みを感じるという事ではないかと思いました。
ただ個人的にはこの若干の重みを感じるキータッチは結構気に入っています。
理由は単純でミスタッチが減るというメリットがあるからです。
通常の赤軸スイッチの様なキータッチの軽いキーボードにはあるあるの話ですが、キーの上に指を置いた状態や軽く触れてしまった場合に不意に入力されてしまういわゆる「ミスタッチ」がよく発生するんですよね。
キーストロークとアクチュエーションポイントが浅めに設定されている「高速入力」特化型のキースイッチでは特に発生しやすい現象だと思います。
低背赤軸(ロープロファイル赤軸)スイッチも「高速入力」特化型のキースイッチだと私は考えているのですが、今までタイピングをしていてこのミスタッチが多いなという印象は全く受けませんでした。
キーボードバックライトはありません
Majestouch Stingrayにはキーボードバックライトが搭載されていません。
暗い部屋ではキーの印字は正直見えませんので、暗い部屋で使いたい人や光るキーボードが好きな人には向かないと思います。
もし、暗い部屋でも使いたいのであればスクリーンバー等のデスクライトを使用するのが良いと思います。
※スクリーンバーについては以前にレビューをしていますので興味のある人はこちらからご覧ください。
まとめ
この記事ではMajestouch Stingrayの使用感についてレビューしました。
Majestouch Stingrayの使用感をまとめると以下の通りになります。
- まさにMajestouchといった様な「質実剛健」なデザイン。
- 通常の赤軸スイッチの打鍵感をイメージしていると若干違和感を感じるかも。
- キータッチは通常の赤軸より若干重く感じるが、その分ミスタッチが減る。
- 打鍵音は通常の赤軸スイッチよりも静かな印象。
- 静音化リングをつけるとより打鍵音を抑える事ができる。
- 低背赤軸(ロープロファイル赤軸)スイッチは「高速入力」特化型の赤軸メカニカルキースイッチ。
- キーボードバックライトがないので暗い部屋では印字が見えない点に注意。
- 薄型のキーボードだが傾斜はそれなりにあるので、スタンドは立てなくても使いやすい。
- メカニカルキーを搭載したキーボードの中ではかなり薄い部類だが、logicoolのG913TKLよりは厚みがある。
このMajestouch Stingrayをブログ記事作成やプログラミングといった文字入力用途で約2ヶ月ほど使ってみて感じた印象はまさに「質実剛健」でした。
正直見た目の華やかさはなく、無骨なデザインです。
しかし使っていくうちに、キーボード本来の使いやすさと心地の良い打鍵感を感じる事のできる素晴らしいキーボードだと私は思いました。